2001年2月25日〜28日
日に日に風も暖かくなり、春はもうすぐそこといった陽気ですね。 ひと月前はあんなに寒かったのに・・・
今年の冬の大陸から張り出した寒気はハンパではなく、 そのあおりでオホーツクの流氷もすんごいことになってました。 はるか沖まで真っ白、氷の厚みも例年を凌ぐ厚さだったようです。 D.S.Hirakiの物好き集団は、そのすんごい流氷(というか、現地サービス「トッカリ」のスタッフは「結氷」と呼んでました・・・流れないのね。) の下を覗いて参りました。 レポーターは前回のパラオに続き、ニシムラです。気温差40度。
プロローグ 〜出発10日前〜
ふるはたさんより「手荷物は少なくしておきたいから、ダイビング機材は送っておいたほうがいいよ。」 とのアドバイスがあったので、早めにパッキングを始めた。 いつものように機材をキャスターバッグの下半分に詰め、 上半分にはドライスーツを詰め、インナーを詰め、カメラのメンテナンス用具を詰め・・・
あ、いっぱいだ。
なんと、リゾートダイビングではお土産をいくら買っても心配ないほどスカスカの キャスターバッグが、ダイビングの装備だけで一杯になってしまった。
マイナス2度の水温に耐えるため、インナーはフリースつなぎの2枚重ね+登山やスキーに使う保温下着を用いるので、それだけでかなりかさばる。 「へへっ。当日ちょっと大変かもしれないけど、宅配料金が勿体無いからハンドキャリーだぜ。」 などと舐めてかかっていたらえらい目に会うところだった。
パッキングの時点でいつものダイビングツアーとの違いを思い知らされるとは、 恐るべし、流氷ダイブ。
【2月25日】
8:00ショップ集合。
天気は良いが、若干風が強い。 今回は全員ダイビング機材を宅配便で送っているため、一同身軽である。 (ただし僕とふるはたさんは重いカメラバッグを抱えているが。) いつものハイエースに乗って、いざ出発!!
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眼を覚ますと、眼下は白一色。 |
名古屋空港まで約50分。10:00前に空港ロビーに到着。 メンバーは引率スタッフのふるはたさん、井手さん、宮本さん、そして私、ニシムラ。 空港で紅一点、安保さんと合流。名古屋在住のためタクシーにて到着。 氷の下を潜ろうというだけあって、個性派揃いである。 一行を女満別空港まで運んでくれるのはANA328便。 「めまんべつぅ?どこ?それ。」と首を傾げるる向きも少なくなかろう地方空港 (僕も流氷ダイブに興味を持つまで名前さえ聞いたことがなかった。)、 さぞかしガラガラのちっちゃな飛行機で飛ぶんだろうなぁと期待していたら、出発ロビーは予想以上の混雑。 乗った飛行機は前から後ろまでぜ〜んぶエコノミーの「モノクラス」ボーイング767。 受け取ったチケットの席番「2B」を見るなり 「お、パラオに続いてブッキングミスでビジネス席か?らっきー!!」 と喜んだ僕は甘かった。しかも250人以上は乗れるであろう機内はほぼ満席である。 巷の流氷ツアーブームはどうやら本物らしい。
10:30離陸。日本海を跳び津軽海峡を抜けるコース。 富士山の見えない側の席だと判った途端に眠気が襲う。 一寝入りして目が覚めると眼下には黒い海と白い大地。釧路上空である。 10分程で機体は降下を始め、12:20女満別に到着。 到着ロビーを出て網走駅行きのバスに乗り込む。 一応「空港バス」だが車内の通路や網棚は狭く、荷物の置き場を確保するのに一苦労。 機材を送っておいてほんとに良かった。
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麗門亭にて。 |
バスは国道39号をひた走り、網走湖、天都山の脇を通って30分程で網走駅に到着。 駅前の喫茶店「麗門亭」で昼食。店内には旅人の名刺、切符、免許証、その他諸々が 壁一面に張ってある。北海道上陸を祝し、昼間っから生ジョッキで乾杯。 やっぱりサッポロクラシックだよね〜。 カレーがスパイシーかつほんのり甘味が利いていて美味でした。 夫婦でやっているお店なのだが、なんと奥さんは高山出身。 とても居心地が良い店で、2時間近くのんびりしてしまいました。
15:30 網走駅横の観光センター裏手より、ウトロ行きの送迎バスで出発。 こちらはフルサイズの大型バスで乗客も少なく、荷物と一緒に1人で2人分を占領して ゆったりとウトロへ向かう。
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斜里岳。雄大な眺望に圧倒される。 |
国道244号を走り始めて10分程で海沿いに出ると、海は一面真っ白&真っ平。 「今年の流氷は凄い」と聞いてはいたが、これほど綺麗なものだとは思わなかった。 想像を絶する景色に圧倒される。明日はこの氷の下を潜るのかと思うと、 期待と緊張で身が引き締まる。 カメラを出して流氷や斜里岳、雪に覆われた牧場なぞを撮りつつ2時間程で今回の宿、 知床グランドホテルに到着。
部屋はベッド2つと8畳間の4人部屋。安保ちゃんは隣の同じ間取りを1人で占拠。 直ちに宴会部屋としての徴用が決定された。 荷物を整理し、「さぁて、温泉温泉。」などと思っていると 部屋の電話が鳴る。お世話になるダイビングサービス「トッカリ」のスタッフから、 18:00からブリーフィングをしたい旨。おおそうだ、ダイビングに来たんだった。
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今回のツアーメンバー。ホテルの玄関前にて。 |
「トッカリ」の本拠地は釧路。流氷ダイビングができるこの時期は知床グランドホテルに逗留し、 斜里の海を案内しているのだとか。一同ログブックを持ってブリーフィングルーム兼トッカリスタッフの 宿泊部屋へと向かう。 今回我々のガイドについてくださるのはダイブマスターの林さんと山崎さん、そして社長の木澤さんである。 流氷ダイブの楽しみ方、見られる生き物や見所、注意点などについて、1時間程のブリーフィング。
「今年は残念ながら、クリオネのはずれ年です。」・・・え?そうなの?ちょっと残念。
「その代わりと言っては何ですが、クリオネの餌のミジンウキマイマイがやたらと大きいです。」 ・・・ほう。写真撮りやすそう。
「今年はとにかく氷が凄く立派です。流氷そのもののダイナミックさを楽しんでください。」 ・・・ワイド装備はないんだよなぁ。肉眼で楽しもうっと。
この時点では翌日我が身にどんな災難が降りかかるのか知る由もなく、 ひたすら脳天気にブリーフィングに聞き入るのであった・・・
【2月26日】
6:30起床。「さぁて、海況チェック。」と展望大浴場へ。 昨日車窓から見た流氷は、そのまま一枚板のように水平線まで連なっていた。 朝食は大食堂でバイキング。筋子食べ放題。朝からしあわせ。 部屋に戻ってインナーを着込む。 準備をしながら「めざましテレビ」を見ていると、今日の占いカウントダウン。 乙女座はなんとワースト1。トラブルに注意。不吉な予感・・・
機材一式を持って8:20ロビーに集合して 「トッカリ」さんのバスでポイントへ。 今回のポイントはオロンコ岩のトンネルを抜けた先の、 オーロラファンタジー会場の裏手の「サンカク岩」の西側。 他のポイントは氷が厚すぎて穴を開けられないため、今年はここしか入れないらしい。 バスを降りると、凍り付きそうに寒い。急いでドライスーツを着る。 ブーツやウォータープルーフバッグがカチカチに固くなる。 想像を絶する寒さに、一同へらへらと笑ってしまう。 荷物をソリに載せて穴の近くへ。
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機材にお湯をかけながらセッティングをする。
中央手前のステンレスポットが必需品。 |
お湯を駆使しつつセッティング。 BCもマスクのストラップもガチガチに固くなっている。 勢いよく吹き出すエアでセカンドステージが凍ってしまうので、 パージボタンを押すのは厳禁。マウスピースを加えてゆっくりと呼吸し、 機材チェックをおこなう。 スチールタンクでシェルドライなのに、ウエイトはなんと14kg!! オーバーウエイトにしてドライスーツにエアをがんがん入れ、 保温効果を高めるのだ。 ウエイトベルトもBCのストラップもガチガチになり、セッティングにひと苦労。 機材を背負う頃には息があがっていた。 すっかりビギナーダイバーに戻ってしまった気分である。
チェーンソーで開けた四角い穴からエントリ。いよいよ流氷ダイブの始まりである。 頭が水面に没した瞬間、周囲の景色がもやもやにぼやける。 氷の海特有の淡水層である。 氷と海水との間に氷が溶けたり周囲の川から流入してきたりした淡水の層があり、 氷点前後まで冷やされたこの層は衝撃を与えると部分的に凍り始めてミゾレ状態となる。 このミゾレで視界がモヤモヤになるのだ。 淡水層の厚さは数十cm。これを抜けて下で待っていた山崎さんにOKサインを出し、 いよいよダイビング開始!!
・・・あれ?呼吸がどんどん軽くなっていく。おっかしーなー。 ・・・やべ。フリーフローだ。しょうがない。 一旦上がってセカンドステージにお湯をかけて、再挑戦。 ・・・う〜ん、何度やってもセカンドが凍ってフリーフローしてしまう。 やっぱり無理か。残念。
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セカンドステージが凍ってフリーフローし、
敢え無く浮上。やはりマグナムでは・・・ |
今回僕が氷の海の中に持ち込んだのは、シャーウッドの「マグナム」というレギュレーター。 ファーストステージに海水が入らないシステムはシャーウッドの上級モデルと同じだが、 「氷の下でも潜れる」とメーカーが詠っている「オアシス」や「ブリザード」との大きな違いはセカンドステージに「ヒートフィン」と呼ばれる部品が付いていない。 これはダイバーが吐いた息の温度をセカンドステージ内の金属部品に伝え、 結氷するのを防ぐものである。 このため「マグナム」は「冷水性能」はクリアしているが、 氷の下のダイビングには向かないと言われている。 「でも、ファーストが凍らないなら最悪でもエアカットは無いはず。 何とかなるんじゃないか?」という思いのもと、 それなりの人達に意見を伺って 「落ち着いてゆっくりと呼吸すれば大丈夫(のはず)。」との結論に落ち着き、 あくまでオウンリスク(しかもガイドには内緒。山崎さんごめんなさい。)で 今回のチャレンジと相成ったのである。 しかし、やはりヒートフィンの効果を過小評価していたようで、 結果はあえなくフリーフロー。機材の限界を身を持って証明しました。 占いは当たった・・・
仕方がないので一本目の潜水は諦め、穴の縁でひと休み。穴を覗いても淡水層のせいで海中の様子は見えない。 海中でダイバーが吐いた息があがってくるだけでもミゾレは出来る。 ミゾレは少しづつ穴の表面に溜まり、やがて穴一面がミゾレで覆われる。 なるほど、こうやって穴が塞がっていくのか。テンダーは必須だね。
チェックダイブを兼ねていた1本目、みんなが三々五々上がってくる。 水面休息はこけももジャム入りの紅茶で暖まりながら炭火焼の焼き鳥をほおばる。 この日はその上なんと、厚岸のカキがコンロの上に・・・!! 殻を開けると「プリンッ!!」と音を立てて弾けそうな身が現れる。 あまりの美味しさに潜れなかった悔しさも オホーツクの彼方に飛んでいってしまった。
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1日目は曇り空。 |
お腹がふくれて心は暖まったが、氷の上でずっと立っているので 足からしんしんと冷えてくる。 こういう時は「マサイ」で暖まろう!!
前の日に開けたエントリ用の穴には氷が張っている。 その上でみんなで飛び跳ねて氷を割るという単純な遊びなのだが、 ドライスーツを着ているとはいえスリル満点。 ついつい昂奮して氷が割れる頃には体が暖まっているという寸法。
・・・が、今日の寒さはやはりハンパでなかった。 張った氷が厚すぎて、いくら飛んでもびくともしない。 巨大なノミのような道具で穴の周りを削り、やっとのことで氷が割れた。 飛び跳ね過ぎて踵が痛い・・・
2本目は急遽レンタルのレギュをお借りして潜る。 今度はフリーフローすることもなく、無事潜降。 「ブリザード」は偉い。ヒートフィンを思い付いたシャーウッドの技術者は偉い。 山崎さんがマンツーマンで付き、氷の下の世界を案内してくれる。 ガイドロープの一端を輪にして穴からウエイトを付けて垂らしたアンカーロープに通し、 もう片方の端をガイドが持って繰り出しながら潜るスタイル。 これでロープさえ放さなければ必ず穴に戻ってこられるというわけ。
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お下げがかわいいフウセンクラゲ |
昨日のブリーフィングの通りクリオネには会えなかったが、 ライトの光を当てると七色に光るウリクラゲや 三つ編みの女の子の頭の後ろ姿になんとなく似ているフウセンクラゲが プカプカと気持ち良さそうに浮いている。 フウセンクラゲは触手(これが三つ編みのお下げね。)に触れると くるくると縮んで面白い。 そして、羽の生えたカタツムリの殻のようなミジンウキマイマイ。 大きいので貝の巻いた様子や羽の形が良く見える。 けなげにパタパタとはばたいているところをチョンとつつくと 「ビクッ」てな感じで動きが止まるが、暫くするとまたパタパタ。 神様ってぇのは面白い生き物を創るもんだと、つくづく感心する。 潜水時間20分、水温-2度。最大水深6.9m。
機材を片づけてソリに積み、バスの近くまで戻ってドライスーツを脱ぐ。 するとなんと、スーツの内側で結露した汗がインナーの表面で 見る見る凍っていくではありませんか。なんという極限体験。 これはふるはたさんも初めての経験だったようで、 一同「寒!!」を連発しつつヘラヘラと笑う。 井手さんはこの寒さでダイビングブーツが破れ、中圧ホースにひびが入ったそうだ。
やはり、尋常ではない。
「番屋」で昼食を食べ、そのままバスで観光へ。 木澤さんの案内でエゾジカやオジロワシを見、オシンコシンの滝を案内してもらう。 15:30ホテルに帰り、自由時間。のんびり風呂に入ってログ付けをする。
18:00 夕食を食べに「磯地」へ。 ふるはたさんと宮本さんはホッケ定食、井手さんは海鮮弁当、安保さんは磯地弁当、 僕はカレイ定食。 去年も小池さんが書いていたけど、ホッケがめちゃくちゃでかい。 宮本さん、食べきれずに残す。 しかし、ふるはたさんの皿には骨さえ残っていない。いつものことだけど。 一同リーズナブルな満腹感を味わって店を後にする。
土産屋を回って流氷と並ぶウトロの名物「オーロラファンタジー」を見に行く。 一昔ほど前に流行ったレーザー光線で夜空に色々と絵を描くショーで 「まぁ、一回くらいは見ておくか。」程度の気持ちで行ったのだが、 予想に反してなかなかの出来栄え。迫力ある音響効果も手伝って、 夜空にクリオネが羽ばたいた瞬間、恥ずかしながらちょっとウルウルしてしまった。 (海の中で見れなかったからではない。断じてない。)
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特大のホッケ。身も柔らかくて非常に美味。そしてふるはたさん完食。 |
感動のオーロラファンタジー。 |
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「トッカリ」のスタッフと。
上段右より木澤さん、山崎さん。林さんは野暮用で外出中。 |
感動の余韻に浸りつつ、コンビニで差し入れを買って「トッカリ」さんのスタッフ部屋を襲撃。 一年分のツアーのダイジェスト版ビデオを見せていただく。 淡水高所ダイビングにドライスーツを着ての川下り、 オオカミウオやホテイウオなどの北の海特有のサカナたち。 四季を通じてバラエティに富んだ活動をしておられ、一同「いいなぁ」を連発。 口では色々言いながら「ダイビング=南の海」という図式に固まっていた自分に気付き、 目から鱗がぼろぼろと落ちる。 北海道でダイビングをやっている人達をとてもうらやましく感じた。
要は、どこに本拠地を構えるのであれ 「与えられた状況を如何に楽しむか」なんだよね。 勉強させていただきました。
激しく感動しつつ、22:00部屋に戻って就寝。
【2月27日】
6:30起床。
昨日と同様に入浴と朝食を済ませ、ロビーに集合してサンカク岩へ。 昨日に比べると寒さは幾分和らぐ。 装備も万全になり、気持ち的にも少し余裕が出てくる。
昨日の2本目は急遽レギュのレンタルとなったためBCと中圧ホースのカプラーが合わず、 ドライのみの浮力調節で潜っていたのだ。 浮き出すと寒くなるのを覚悟の上でドライのエアを抜かなきゃならんのは ちと辛かった。 というわけで昨日は結局カメラを水中に持ち込めずじまいだったので、 今日こそは写真を撮るぞと意気込んでセッティングをする。 少し気がかりだったのは、昨日に続き今日も乙女座の占いは 「トラブルに注意」。昨日当たっただけに・・・
やはり当たった。水中ライトが見事に浸水しておりました。 昨日やってしまっていたのを気付かずに一晩放っておいたので、 当然電池はオシャカ。応急処置として内側を雪で洗う。 予備のライトを持ってきておいて良かった。備えあれば憂い無し。 でも、備えついでに昨日ちゃんとチェックしておけば きれいな雪をまっ茶色にしなくて済んだのにねぇ。
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流氷ロックを飲むべく、ウキウキと氷をかく安保ちゃん |
今日は宮本さんとバディを組み、林さんのガイドで潜る。 エントリしてすぐにウミグモに出会う。 足をもがくように動かして泳ぐが、クリオネやミジンウキマイマイのような 優雅さに欠ける。どう贔屓目に見ても 「がんばってるのは判るけど、不器用なのね。」 ぐらいにしか見えない。 これがまた小さくて、カメラのピントが合わせ辛いのなんのって。
流氷の下の生き物って「かわいい」だの「きれい」だの言われるけど、 ぶっちゃけた話プランクトンなのね。 だから動きは遅いんだけど、小さいからオートフォーカスが効かない。 マニュアルフォーカスでもピントが合ってるんだか合ってないんだか良く判らない。 唯々フォーカスノブを動かして、「ピント合ってますように。」と祈りながら シャッター切ってました。正直のところ。
無難なところでクラゲも何枚かカメラに収め、 潜水時間21分程でエキジット。水温-2度、最大水深8m。
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顔拓の後、埋められた古旗さん。 |
気温は昨日よりずっと暖かく、-2度。 焼き鳥をほおばり(今日はカキは無し)紅茶を飲んでいると 少しづつ青空が見え始める。 沖の方に目をやると、昨日はまっ平らだった氷が心なしか凸凹している。 北風に煽られて氷が押し寄せ、盛り上がってきたのだそうだ。 盤石に見えた氷が一晩で様相をがらりと変える。不思議は尽きない。
今日の水面休息は「顔拓」で遊ぶ。 これも「マサイ」に負けず劣らず単純な遊びで、 ただ大の字になって雪の上にうつ伏せに倒れ込むor飛び込むだけ。 ふるはたさんの目だけが出ているフードでやると 目鼻の跡がきれいについて面白い。 「よし、じゃ次は僕ね。それっ!!」 ・・・顔が死ぬほど冷たかった。 やっぱりあれをやるにはデストロイヤータイプのフードでないと、だめね。
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普通は藻場を棲み家にするニシキギンポ。 |
2本目は底の石の下を探ってみる。 ギスカジカ、カラフトシマモエビ、ニシキギンポなど、 50mmマクロにちょうど良いサイズの被写体が色々と待ち構えていた。 カジカはチョロチョロとよく動き回るが、 エビとギンポは悠々としたもの。(それとも寒さで固まっているのか?)
氷越しに差し込む光がとてもきれいで、 エントリの穴から見える四角い青空がなぜか不思議に見えた。 差し込む光に向かってシャッターを切る。なるほど、ワイドが欲しい。 名残りを惜しみつつ、震えに急かされてエキジット。 潜水時間24分、最大水深10.1m。
昼食を食べて観光へ。今日は晴れて羅臼岳も顔を見せる。 オシンコシン展望台からは、ウトロの町が一望できた。 ホテルに帰って、ホテルの会議室で今日潜ったみんなでログ付け。 サイン交換をすると、なんと小笠原から来られた方が見えた。 気温差はいったい何度あるのだろう。 あとは浜松から一人、岡崎から一人。なんと中部圏は物好きの多いことか。(失礼。)
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高台より流氷を臨む。 |
部屋に帰ってバスタオルを空いた場所に敷き詰め、機材を乾かす。 本当はバスルームで機材一式を洗いたいところだが、 外に一晩干すと悲惨な結果になるのは容易に想像できるので、 レギュレータだけをすすいで我慢する。 井手さんと宮本さんは隣の宴会場、もとい安保さんの部屋に乾かしに行く。 ドライスーツも洋室と和室の仕切りに掛け、ひとっ風呂浴びて夕食へ。 今夜はふるはたさんの常宿、民宿「酋長の家」の御厚意で夕食が頂けることになった。 メニューはホッケの煮付け、ホタテ稚貝の味噌汁、海鮮茶碗蒸、鹿肉のシチュー、 自家製イクラの醤油漬け、タコキムチ、納豆昆布、鱒のソテー、鮭の白子の唐揚。 どれもものすごく美味い。猛烈な満腹感と幸福感に、一同しばらく動けなくなる。 あぁ、来て良かった。でも確実に太ったね。
腹をさすりながら土産物屋を回り、各々土産をゲットして酒とつまみを買い込んで ホテルに戻る。10時過ぎに林さん登場。 道内、伊豆、南紀と各地のダイビング話に花が咲く。 (林さんの地元は名古屋なのだ。) 名残を惜しみつつ、というか、我々のエンドレス呑みに付き合いきれずにというか、 12:00過ぎに林さん退散。つられて宴会もお開きに。 安保ルームにはビールの空缶がうずたかく積まれていたのだった・・・
【2月28日】
機材をパッキングして宅配に出し、9:35バスで網走へ向かう。 バスはほぼ満席。補助席を出して座る。 来るときには流氷で埋まっていた海が、今日は少し開け始めている。 11:10網走駅着。11:50、空港行きのバスが来る。 ANA328便は往路と同じモノクラス。すし詰めで名古屋へ。 宮本さんのとなりは移動のスチュワーデス。そんなこたぁどうでも良いか。 名古屋空港で奥さんの出迎えを受け、安保さんは家路へ。 他のメンバーもショップにもどり、解散。 やっぱり岐阜も寒かった。 エピローグ 〜3日後〜
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午前1時の懲りない面々。 |
居酒屋「らく楽」。
流氷メンバーに平木さん、小池さん、八島さん、後藤さんが加わり、 流氷ツアーの打ち上げである。
しかし、案の定流氷の話はそっちのけでいつもどおり宴会は暴走し、 次の日(っていうか、その日?)はショップ主催のCPR講習にもかかわらず 2次会がお開きになったのは夜中の2時半であった・・・ |